昨年に引き続き今年も日本受精着床学会総会シンポジウムでFNA Mappingの講演をしてきました!
[2023.08.09]
7月27日から28日まで行われた日本受精着床学会総会のシンポジウムでFNA Mappingの講演をしてきました。FNA Mappingにより、1:micro TESE単独手技による精巣内精子の見逃しが極力少なくなること 2:他院で実施された精巣内精子採取術、特にmicro TESEを両側精巣に対して実施された方々で男性ホルモンの低下が顕著であったが、FNA Mappingを経て手術を行なった場合は後遺症がほぼ回避できていること 3:他院で実施された両側精巣に対するmicro TESEで精子が見つからなかった方々からFNA Mappingにより精子が回収でき、妊娠例、出産例が出ていること 4:FNA Mappingにより従来は必要とされたmicro TESEの約80%が不要となり、セルトリオンリーのような重度造精機能障害の方でもFNA Mappingで造精部位が特定されていれば、執刀開始から運動精子回収まで中央値22分と手術時間が格段に短くなっている事などにつき、国際的及び自身のデータに基づいたプレゼンテーションをいたしました。もはや経営上の利害関係からmicro TESEの優位性を昨年から主張し続けていた関係者も反論できなくなったようでした。フロアからはFNA Mappingを国内でいかに普及させていくことができるかという論点で質問が相次ぎました。FNA Mappingは精度を上げるためには3年間のプログラムを終了してライセンスを取得する必要があります。そこまでの費用も数万ドルかかることより、日本では私1名しか認定されていません。今回の学会ではFNA Mappingを真似た新しい手技と称する手術が他施設から発表されてましたが、術式名にmappingという言葉を含めて使用しているもののFNA Mappingとは全く内容が異なっており、かなり太い針で複数箇所を穿刺してからmicro TESEを行うことより、より精巣のダメージが大きくなり、また精子の見逃しのリスクは従来のmicro TESEとさほど変わらないという、個人的にはかなり問題が大きい手法と思われました。FNA Mappingについて患者さんに相談されると、うまく説明できないので大変だとする専門医の先生方の声もあり、FNA Mappingについては個人的に治療できる方々の人数に限りがあるので、プロモーションもプロパガンダも一切していないが、FNA Mappingを受けた患者さん方々がSNSで生き証人として情報発信されている状況につき説明してご理解をいただきました。