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男性不妊顕微鏡手術に要求される3つの要素

1:CRAFTSMANSHIP

 ものづくりでは高い評価を受けている日本とドイツ。そのものづくりを支えているのは日本では中小企業であり、ドイツではマイスター制度です。マイスター制度では優れた指導者の元で厳しい修行を長年にわたって積まなくてはいけません。優れた職人に共通した資質としていかに細部に至っても妥協しない姿勢が求められます。それは傍目には見えないところに至っても手を抜かないということです。精索静脈瘤に対する顕微鏡下低位結紮術では根治性とともに全ての動脈とリンパ管を温存することに徹底してこだわることが求められます。一方で手術が早いとか手術の実績だけを前面に出す姿勢はcraftsmanshipが欠如していることを意味します。

2:INTUITION

 一流の棋士やチェスの名人は次の一手を無数にある選択肢から直感で大部分を除外し、残った選択肢から論理的に詰めて決定していると言われています。コンピューターであれば短時間に計算してできることであっても人間の場合はそうはいかないのでこの直感に頼らざるをえません。こうした直感力は豊富な経験によって養われる能力ですが、経験を積めば自然に出来上がるものではありません。一つ一つの経験を振り返り、上手くいかなかった時にはどうしてか、上手くいった時でも他にもっと良い方法はなかったのか、常に考察して次の経験にフィードバックする地道な積み重ねを実践することによって初めて得られる能力です。精索静脈瘤に対する顕微鏡下低位結紮術や無精子症に対する顕微鏡下精巣精子採取術では一人一人で解剖学的所見が異なるため、手術中常に状況に応じて瞬時に判断して操作を進めていく必要があり、そうしたintuitionが必須になってきます。

3:PASSION 

 手術だけ上手くなってもそれだけでは十分ではありません。例えば寿司職人は寿司を握るだけであれば短期間の練習で素人でもできなくはないが、一流の寿司職人として仕入れから接客までできるようになるのは並大抵な事ではないと言われています。そして美味しいと感じるには味覚だけではなく、その他の感覚が満たされることも必要です。男性不妊の手術では主治医が男性不妊治療へのpassionを根底に持っていないと、手術適応の決定から手術後のケアやフォローまで治療を完結することはできません。

 

 

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