精索静脈瘤に対する虚偽の診断と低位結紮術の過剰な手術適応にご注意ください
[2024.01.22]
昨今見受けられる精索静脈瘤の虚偽の診断と根治手術である低位結紮術の過剰な手術適応には注意が必要です。これまでも精索静脈瘤が全く無い症例に前医で手術を勧められたケースがしばしば見受けられることから、そもそも精索静脈瘤が無いケースに対しても手術が実施されている実態が推察されます。そもそも精索静脈瘤が無いのですから、適当な手術を行なっても根治したことになります。一方で当院で精索静脈瘤がグレード1に満たないsubclinical gradeと診断されたケースでも、その後体外受精を実施するために移った施設で手術適応であるグレード2と説明されたケースも実在します。そして体外受精を先行させてもしうまくいかなかったら精索静脈瘤を手術してからやり直しましょうという不適切な説明がなされています。その背景には体外受精と低位結紮術が保険適応となって診療単価が下がったことから、患者あたりの治療サイクル数を増やして診療報酬の総点数を上げようとする意図が伺えます。責任感と見識のある泌尿器科専門医であれば、体外受精を先行させて、ダメだったら精索静脈瘤を治しましょうなどという体外受精施設の都合を優先した説明をすることはありません。