推薦の言葉(五十音順)
1:東北大学医学部泌尿器科学教室前教授 折笠精一先生より
この度、菅藤 哲 先生が泌尿器科,内科に加えて、生殖医療を標榜して開業されるとのこと、男性を対象とした生殖医療の専門家の少ないことから大いに期待したい。
先生は学生時代に既に内分泌学に強い興味を抱き、加えて医師になってからは生殖医療に強い関心を示して基礎研究を始めている。
中でも男子不妊症の原因として最も重要な精子形成に関する研究成果は、これまで数多くの欧米の専門誌に発表されて注目されている。
これらの研究成果を基に、最近は男子不妊症に対する顕微鏡下の外科的治療も精力的に行い、その成果に我々はいつも驚かされている。
今後は一般診療に加えて、男子不妊症にも希望の光を与えてくれるものと大いに期待したい。
東北大学名誉教授、仙石病院名誉院長 折笠精一
2:東北大学加齢医学研究所前所長 佐竹正延先生より
菅藤 哲 先生を想う
先生の名前を聞いて思い浮かびますのは、「持続する熱意」であります。その所以を以下に綴るわけですが、そのためには先ず小生の現役時代、東北大学・加齢医学研究所にて、教授として研究活動に従事していた折の状況を知って頂かなくてはなりません。大学院学生や研究生の皆さんが、小生の専攻であった分子細胞生物学の研究領域に参加したとして、彼が、彼女が、筆頭著者として論文(いうまでもなく、国際的な研究雑誌に掲載されるような、英文論文のことであります)を発表できるまで、何年かかるか? 私の経験では早くて3年、遅いと5年といったところであります。医学研究科の博士課程は4年制ですから、まあ、年限いっぱいを使って、やっと一つの論文完成に持っていけるかどうか、といったところが相場なのです。それで、我らが菅藤先生、昔の菅藤青年が小生と研究を共にし、論文完成まで何年かかったのか? ずばり、「20年でした」と書けば、なんと先生は、とんでもない劣等学生であったかのような印象を与えてしまいますね。もちろん、そんなことはありません。逆に、「たったの2年でした」と書けば、今度は、先生が素晴らしい優等学生であった印象にかわります。20年と言ったり、2年と言ったり、混乱を引き起こしたいわけではありません。どちらも本当です。実は先生には、二つの研究テーマを担当してもらったのでした。そのうちの一つ、白血病細胞の研究は極めて順調に進み、2年もかからずに、論文発表にもっていけたのです。しかし、白血病は血液内科専門医なら必修マターですが、菅藤先生の本職は泌尿器科ドクター。白血病なんかを研究していて、良いわけはありません。というので、もう一つのテーマは泌尿器科関連の男性生殖細胞、すなわち、精細胞分化の研究。ところが、これが、難物中の難物であったのです。詳細は省きますが、本質を突き止めるまで15年、発表まで5年、計20年もかかってしまいました。ひとえに、研究指導者であった小生の不明の致すところで、反省しきりなのですが、そのことはさて置きます。また、もう片方の論文をたったの2年で完成させた、先生の優秀ぶりもさて置きます。なぜなら、不明や優秀、そういう人は、珍しくないからです。さて置くべきでないのは、難儀であったもう一方の研究完遂にかけた、先生の倦むことなき熱心であります。20年間の長期にわたって努力を継続したのです。到底、常人のなせる業ではありません。感嘆、置く能わざるのは当然としても、私は不思議の感にうたれるのです。「持続する熱意」は、菅藤先生のいかなる資質に由来するのであろうか? ひとがひとに想いをはせる・・・。必ずしも、男女の愛に限らないのではないでしょうか。
平成28年6月23日、 紫陽花の季節に 佐竹 正延