micro TESEで精子回収されなかったセルトリオンリー症候群の方からFNA Mappingで成熟精子の存在が確認されました!
本邦で初めてとなるFNA Mappingを2018年5月より開始しましたが、micro TESEで精子回収できなかったセルトリオンリー症候群の方より、この度FNA Mappingで成熟精子の存在を確認いたしました。micro TESEを多数手がけている他施設のトップの胚培養士の方もFNA Mappingの見学に来られてましたが、この度の結果には驚きを隠せないご様子でした。昨年国際学会でDr. Turekにより、micro TESEで精子が回収されなかったケースであってもFNA Mappingによって29%のケースで精子確認できると報告されておりましたが、予想以上の早さでFNA Mapping開始早々の快挙となりました。早速FNA MappingのトレーニングをしてくださったDr. Turekに報告致しました。思えばFNA Mappingを当院で開始するにあたり、数年間の準備とトレーニングを経ましたが、そのために費やされた時間と費用も決して少なくはありませんでした。このたびの患者さんは本邦ではmicro TESEを多数手がけている著名な施設で両側精巣に対するmicro TESEを受けられましたが、すべての採取組織で精子は確認されず、病理標本もセルトリオンリー症候群で事実上ギブアップとされた方でした。しかしFNA Mappingを実際に行ってみると、micro TESEで死角となっていた複数の部位から成熟精子が少なからず存在することが確認できました。最初に受けられたmicro TESEの1年後には術前の約半分の男性ホルモン値に下がっており、その結果メタボリック症候群になっており、もし最初からFNA Mappingを受けられていればそれほど男性ホルモンが下がらずに済んだのではと思われます。今後お住まいのある関西の施設に依頼して男性ホルモン値を上げる治療を実施して頂くことになりました。折しも今週末神戸で開催される日本アンドロロジー学会総会でFNA Mapping創始者であるDr. TurekよりFNA Mappingの招請講演があります。本邦でmicro TESEを手がけておられる多くの先生方に聴いていただければと思います。