SMARTMap and SMARTRetrieve Certified by The Turek Clinic, Inc.
SmartMAP(FNA Mapping)は、無精子症の診断および治療方針決定において重要な役割を果たす、精巣内局所精子存在マッピング法です。簡単に言えば、精巣内のどの部分で精子が作られているのかを事前に確認するための「精巣内ナビゲーション」のような手法です。
当院では、このFNA Mappingをmicrodissection TESE(顕微鏡下精巣精子採取術)に先立って行うことで、精子回収の可能性を高めるとともに、手術の負担やリスクを最小限に抑えています。
SmartMAP(FNA Mapping)の目的と特徴
無精子症、特に非閉塞性無精子症の場合、精巣全体で均等に精子が作られているわけではなく、ごく一部の場所でのみ精子が存在していることがあります。SmartMAPは以下のような特徴を持っています。
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精巣内の精子が作られている部位を事前に特定可能
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不必要な精巣切開を避け、侵襲を最小限に
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精子回収率の向上
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術後の男性ホルモン低下や精巣萎縮のリスク軽減
SmartMAPは、精巣の頭部・体部・尾部、外側・中央・内側の各部位から細い針でごく少量の組織を採取し、顕微鏡でその場で精子の有無を確認します。
SmartMAPとmicrodissection TESEの関係
従来のmicrodissection TESEは、精巣を切開して精子を探す手術ですが、精子が作られている場所が事前にわからないまま行うため、どうしても精巣への侵襲が大きくなる傾向があります。
SmartMAPによって精子の存在部位を事前に特定することで、以下のようなメリットがあります。
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精子が存在しない部位の切開を避けられる
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不要な両側精巣切開のリスクを減らせる
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手術時間を短縮できる
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精巣の機能温存が可能
実際に当院ではSmartMAPを導入後、精子回収率の向上、術後のQOL(生活の質)の向上に大きな成果を上げています。
SmartMAPの手技と流れ
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局所麻酔のもと、精巣の各部位から極細の針で組織を採取します。
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採取した組織は、左右精巣28〜36箇所の各々につき、採取された細胞の全てが観察できるようスメアという標本が作成され、トレーニングと認証を受けた細胞検査士兼培養士が数十時間かけて顕微鏡で精子の有無を確認します。
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結果に基づいて、必要に応じてmicrodissection TESEの実施計画を立てます。
このように、SmartMAPは精巣内の精子を探す「地図」として機能し、精密で効率的な手術を可能にします。
SmartMAPのメリット
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高い精子回収率
事前のマッピングにより、ピンポイントで精子を採取できます。 -
低侵襲で安心
不要な切開を避け、術後の合併症や男性ホルモン低下リスクを減らします。 -
遠方の方にも適した治療
短期集中の治療計画が立てやすく、遠方からの通院負担が少なくなります。
当院の取り組み
当院では、SmartMAP(FNA Mapping)をDr. Turekの監修のもと導入し、無精子症治療の新たな選択肢として積極的に提供しています。不必要な手術による精巣ダメージや男性ホルモン低下、更年期症状に苦しむ方を減らすため、正確な診断と最適な治療の実現に努めています。
無精子症や精子が極めて少ないと診断された場合には、まずは安易な手術に進まず、一度当院にご相談ください。
院長より
SmartMAPは、無精子症の治療において大変重要な役割を果たします。私は泌尿器科専門医・生殖医療専門医として、これまで数多くの男性不妊症の診療に携わってきました。FNA Mappingは2004年に東日本で初めて仙台でmicrodissection TESEを本格的に導入し、2006年に日本で初めて妊娠率を不妊治療のトップジャーナルにあたる国際的論文発表し、今日まで2000例に至るmicrodissection TESEを実施した実績をもとに導入された前衛的な手術手技です。安易にmicrodissection TESEやTESEに進むのではなく、まずは精子の存在部位を確認することが、患者さんの体への負担を減らし、将来の妊娠出産の可能性を広げると確信しており、国際的論文でも支持されています。FNA Mappingとともにmicrodissection TESEに至るまで安心して治療を受けていただける体制を整えておりますので、ぜひ一度ご相談ください。
無精子症と診断された際には直ちにmicrodissection TESEに進むのではなく、FNA Mappingについてもご検討されることを勧めます。
The Turek Clinicへのリンク⇨ https://www.theturekclinic.com
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