3:男女に共通したよくあるご質問
Question①
夜中に何回もトイレに起きるようになりました。年のせいでしょうか?
Answer①
夜間2回以上トイレに起きるようであれば問題です。夜間頻尿は睡眠不足の原因になっていないこともありますが、冬期間寝室とトイレの寒暖差があると脳卒中などのリスクになり、段差があったりすると転倒による骨折のリスクを高めます。稀に抗利尿ホルモンという尿量を司るホルモンの異常が原因になっていることもあります。脳梗塞予防に就寝前に水分摂取を勧める指導がされていることがありますが、就寝前の水分摂取は脳梗塞の予防効果にそれほど貢献していないという報告がされていますので、夜間頻尿の際は就寝前の水分摂取は控えたほうが無難です。
Question②
トイレに行くのを我慢するのが大変になりました。年のせいでしょうか?
Answer②
正常な蓄尿機能であれば最初の尿意は一旦忘れられます。しかし潜在意識として尿意は記憶されており、トイレに行く機会を逸しないよう準備することができます。そして2回目の尿意は時間とともに強くなってきて早急にトイレに行く必要性を認識させます。この最初の尿意が消えずに2回目の尿意に続いてしまう病態が昨今話題となっている過活動性膀胱です。進行すると女性では尿漏れを起こすことがあります。過活動膀胱については別ページで詳しく説明しておりますので、ご参照ください。
Question③
尿が出にくくて苦しいです。どうしたらよいでしょうか?
Answer③
急性膀胱炎や尿道炎では実際は膀胱が空なのに貯まっている感覚が強くなります。一方で尿閉と言って膀胱がパンパンに貯まっていて尿を出せない状況の可能性もあります。いずれ早急に受診が必要です。高齢男性で飲酒後、咳止めや風邪薬などを飲んだ後は尿閉になりやすいでので、注意が必要です。
Question④
別に苦しくはないのですが、尿がさっぱり出なくなりました。異常でしょうか?
Answer④
無尿という尿が作られなくなった病態の可能性があります。尿毒症に進行する可能性があり、緊急事態です。治療が遅れると慢性腎不全となり、透析が必要となる可能性があります。脱水、心不全、鎮痛剤などの使いすぎで起こることがあります。
Question⑤
夜間頻尿ありますが、内科の先生に寝る前の水分補給を勧められています。泌尿器科の先生には寝る前の水分摂取を控えるよう勧められています。どちらを信じれば良いでしょうか?
Answer⑤
夜間頻尿がある方はない方に比べて寿命が短くなることが研究調査で明らかになってきています。寝る前の水分摂取は脳梗塞の予防に貢献していないとする報告も合わせてなされており、夜間頻尿が2回以上の方は寝る前は水分摂取を控えたほうが良いでしょう。
Question⑥
利尿剤はあまり使いたくないのですが、おしっこの量を増やす食事はありますか?
Answer⑥
スイカやメロンなどのウリ系の作物は利尿作用があるとされます。カフェインを含むコーヒーや紅茶なども利尿作用があります。
Question⑦
血尿が出たのですが、痛くも痒くもなく、すぐに治ってしまいました。様子見ていいでしょうか?
Answer⑦
上記のような症状は無症候性肉眼的血尿といい、主な原因は膀胱癌、尿管癌、腎盂癌などの尿路上皮癌です。ただちに泌尿器科を受診してください。
Question⑧
おしっこに泡が立ちます。異常でしょうか?
Answer⑧
あまり心配がないこともありますが、気尿と言って病気の症状のことがあります。糖尿病が代表格で、嫌気性菌という酸素を嫌う菌が原因となって気腫性膀胱炎を起こすことがあります。特に注意しなければいけないのは、発熱、悪寒、腰背部痛を起こした場合で、気腫性腎盂腎炎では容易に敗血症という命に関わる重症を引き起こすことがあります。この場合早急に入院施設がある泌尿器科を受診しなくてはいけません。その他稀ですが、腸と膀胱の間で大腸憩室から瘻孔を作成したり、外科手術の後で腸と膀胱の間に瘻孔を形成していることがあります。保存的に治すこともできますが、瘻孔切除術などが必要になることがあります。
Question⑨
牛乳のようなおしっこが出ます。何でしょうか?
Answer⑨
乳糜尿と言います。フィラリアという原虫がリンパ管に詰まってリンパ液が尿に混じって起こります。東北地方ではまず見られませんが、九州沖縄地方や東南アジアなどで生活したことがある方に発症することがあります。
Question⑩
朝一番のおしっこの色が濃いのですが、心配ないでしょうか?
Answer⑩
寝ている時は起きている時と違って抗利尿ホルモンというおしっこを濃縮するホルモンが分泌され、その結果尿は濃くなります。尿中の物質が析出して形成される尿路結石が夜間から朝方にできやすいのもこれによります。したがって夕食にはシュウ酸を多く含む食べ物は摂らないのがオススメです。また高齢に成ると抗利尿ホルモンの分泌量が減るため、夜間排尿で起きやすくなります。