無精子症治療が保険適応となった今、 TESE同時採卵(fresh TESE)の優位性を謳う体外受精施設にご注意ください!
[2023.12.24]
無精子症治療である精巣内精子採取手術と顕微授精が保険適応となってから、採卵と同時に精巣内精子採取手術を行うことで最も治療成績が良いと謳う施設が出現しています。無精子症で精子回例例のほとんどを占めるセルトリオンリー症候群及び閉塞性無精子症で回収される精子は凍結しても全く問題にならないケースがほとんどです。また非閉塞性無精子症で2/3以上のケースでは精子は回収できません。それにもかかわらず同時採卵を勧めるのは、精子非回収例にも採卵を行う営利目的であるか、精巣内精子の凍結及び融解技術に自信が無いかのどちらかです。実のところ2004年に東日本で初めてmicro TESEを執刀し始め、TESE同時採卵(fresh TESE)の成績を2006年に国内で初めて論文を出しましたが、その後優れた力量がある胚培養士がいる体外受精施設であれば精巣内精子を凍結しても何ら問題ないことがこれまで1500例以上執刀してきた結果から判明しています。体外受精が自費診療だった時代に一等地に過大な設備投資をした体外受精施設では、体外受精が保険診療となって治療単価が大幅に下がってしまったことで、今更ながらTESE同時採卵(fresh TESE)を表に取り上げているのかもしれません。TESE同時採卵(fresh TESE)は男性側も採卵日に手術日を合わせる必要があるため、予想された採卵日がずれても対応できるようにその前後にかけて仕事を休みにしておかなければならず、男性の手術日に無理に採卵を合わせると未熟卵が多くなって目標としていた成熟卵が得られないなど多くのデメリットが生じます。大きな規模の体外受精施設の場合、胚培養士がシフト制になっているため、常に力量の高い胚培養士が手術当日にあたるとは限りません。当院では仙台、関東、関西から長年のコラボレーションに伴い実地経験が豊富な胚培養士にクリニックに来てもらって精巣内精子採取手術を行なっています。そのため常に安定した治療実績を出すことが可能となっています。